劇団桟敷童子『博多湾岸台風小僧』

 チラシのビジュアルが気になったのと、博多から帰ったばかりということで、劇団桟敷童子の公演へ。最近、行ったことのない劇団へ行く機会が少ないせいか知らなかったのだが、99年結成というからもう7年目。それで、今回のスズナリが初劇場進出作品だという。
 それでも、初めて見る劇団に、期待とちょっとした不安を胸に足を運ぶのは、楽しい気分。

 博多で「河太郎」という川浚いなどを生業とする人々のどん底の集落が舞台。その暮らしを楽しむ者もあれば、成り上がって出て行こうとする者もあり、また新たに墜ちてくる者もいる。その集落に、マッチ工場での過酷な搾取労働を逃れて来た女工と、それを追うならず者たちが現れ、人々の生活に大きな波乱が訪れる。やがて、すべてを攫う台風が博多を襲おうとしていた……

 思っても見なかったのですが(というのは、最近の劇団という先入観があったもので)、どちらかというとアングラ系、というか唐組と新宿梁山泊系の芝居。と思ったら、主催は両劇団出身だったのですね。戯曲自体は唐的ではないのですが、演出とか見せ方にやはり相通じるものを感じました。
 とにかく、冒頭の歌からぐっと来まして(ああ、自分はほんと歌入り芝居が好きだなあ)、ラスト直前の一大スペクタクルでうわーっと来ました。テント公演ならあるのでしょうが、劇場でこれだけのケレン味のある演出は久々だったので、これまた感動もひとしおです。

 いや、いままでこの劇団を知らなかったことを後悔しました。今週末までスズナリで上演しています。
 http://www8.plala.or.jp/s-douji/