ものすごい写真集が出た。

■『紅色新聞兵』李振盛 ファイドン株式会社 本体4980円
という本が出ていたので購入。『黒竜江日報』の造反派記者が撮影、秘蔵していた写真を集めたもの。文化大革命中の吊し上げ写真も多いが、一方、当時の日常を写したものも多い。
 とにかく装幀がすごい。B5の大判なのだが、表紙が赤のテカテカのビニール。そう、あの“紅宝書”、毛沢東語録を引用しているのだ。それはそれでおもしろいのだが、そのまま書棚に立てておくと、そのうち隣の本に貼り付いてしまうのだろう。要注意。
 それにしても驚いたのは、巻末に収録された王守信の処刑写真。王守信といえば、劉賓雁のルポルタージュ『人妖の間』の主人公(?)で大汚職事件を巻き起こした悪女である。大学の時、教科書で取り上げられたこの作品からは、きつい女というイメージがあったが、写真ではなんともふつうのおばさん。それがリアルな現実なのだろう。なお、劉賓雁作品で入手が容易なのは『劉賓雁ルポ作品集』(白帝社、本体1800円)。知り合いが翻訳したのでちょっと宣伝。

■久々の本格香港映画本が出ていたのでこちらも購入。
 『香港映画の街角』野崎歓 青土社 本体2600円
 ジャン・ルノワールについての本も出している仏文学者である野崎氏だが、実は大の香港映画好き。最近では、『柔道竜虎榜』のジョニー・トー監督へのインタビューなども行っている。取り上げている作品も実に豊富で多岐にわたっており、楽しめそうな1冊である。